今回、電車通勤者500人を対象に行われた興味深い調査結果をもとに、通勤中のイライラの原因や、多くの人が取る対処法、そして専門家のアドバイスをご紹介します。自身の通勤体験と照らし合わせながら、日々のストレスを少しでも軽減するヒントを見つけてください。
通勤ストレス、9割以上が経験済み:調査概要
まず、電車通勤に関する「イラッ」の経験率に驚かされます。調査によると、なんと91.6%もの人が「イラッとしたことがある」と回答しています。
(画像出典元: Biz Hits Career blog)
この結果は、「電車通勤にイライラはつきもの」という共通認識を裏付けるものと言えるでしょう。「よくある」という回答よりも「たまにある」が多いことから、恒常的な混雑だけでなく、特定の状況や他者の行動がイライラの引き金になっている可能性が高いことが示唆されます。つまり、誰もが無意識のうちに誰かを不快にさせている可能性もゼロではないということです。
通勤時間帯別のイライラの頻度を見ると、最も混雑する朝8時~9時台とそれ以外の時間帯で、大きな差はなかったといいます。この点からも、混雑の度合いそのものより、車内での「人の行動」がイライラの主要因となっていると考えられます。
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電車内で「イラッとさせる行動」ランキング
では、具体的にどのような行動が多くの人をイラッとさせているのでしょうか。調査で明らかになったランキングを見てみましょう。
(画像出典元: Biz Hits Career blog)
- 動こうとしない (18.0%)
- 声が大きい (15.6%)
- 座席をつめない (14.6%)
- イヤホンから音漏れしている (8.4%)
- 荷物が邪魔になる (7.8%)
- 匂いがきつい (6.6%)
無理やり乗り込んでくる (6.6%) - 咳エチケットを守らない (5.4%)
1位の「動こうとしない」は、混雑時にもかかわらずドア付近や通路の真ん中に立ち止まる、奥に詰めようとしないといった行動を指します。「すぐ降りるから」という意図があるのかもしれませんが、車内全体の流れを妨げ、周囲に「協調性がない」「自分勝手」という印象を与えがちです。
2位の「声が大きい」は、電話での話し声や友人との会話、独り言などが密閉された車内に響き渡ることで、周囲の集中を妨げたり、不快感を与えたりします。
3位の「座席をつめない」は、足を大きく広げる、隣との間にスペースを空ける、空席に荷物を置くなど、他の人が座れる機会を奪う行動です。これらの行動には、「周囲への配慮の欠如」や「自分中心な態度」が共通していると言えるでしょう。
イライラへの対処法:約6割が「我慢」を選択
電車内でイライラを感じた際、人々はどのような行動を取るのでしょうか。調査結果から、多くの人が直接的な言動を避けている実態が明らかになりました。
(画像出典元: Biz Hits Career blog)
圧倒的に多かったのは「我慢する(58.2%)」という回答です。「トラブルになりたくない」「余計な関わりを持ちたくない」といった理由が多く挙げられています。心の中で不満を感じつつも、波風を立てずに耐えることが、日本の通勤風景における一般的な対応と言えるかもしれません。
次に多い「その場から離れる(24.4%)」も、相手との物理的な距離を取ることでストレスを回避する行動です。これらの結果から、多くの人が直接的な注意や抗議よりも、間接的な方法でストレスを処理しようとしている様子がうかがえます。この「我慢する」という多数派の選択は、「誰も言わないけれど、多くの人が不満に思っている」という無言のメッセージでもあり、私たち自身の行動を振り返るきっかけとなります。
専門家が解説する通勤ストレス対策
通勤中のイライラについて、こころサポートクリニック院長の平山貴敏氏は、専門的な視点から解説しています。
平山氏は、電車に乗る行為自体がストレスを生みやすく、イライラしやすくなる状態(イライラの閾値が下がる)にあると指摘します。特に混雑時は周囲に意識が向きがちで、無意識のうちにイライラの原因を探してしまうことさえあるといいます。「通勤中はイライラしやすい状況にある」と認識するだけでも、冷静さを保つ助けになるかもしれません。
ストレスを軽減するための具体的な対策として、平山氏はまず「周囲に迷惑をかけないよう配慮する」ことの重要性を挙げます。加えて、「外の風景を眺める、音楽を聴くなど、『自分の時間』に集中する」ことを推奨しています。これは、外部の刺激から意識をそらし、自身の内面に集中することでストレスを軽減する効果が期待できるからです。
さらに、心理的なアプローチとして「電車に乗る時は周囲に対する期待値を下げておく」ことも有効な工夫だといいます。私たちは無意識のうちに「こうあるべき」という期待を持って電車に乗っていますが、その期待が裏切られると怒りを感じやすくなります。「今日は何があっても動じない」くらいの心構えでいると、気持ちが楽になる可能性があります。
(画像出典元: Biz Hits Career blog)
まとめ:快適な通勤のために必要な「お互い様」の意識
今回の調査結果は、電車通勤におけるイライラが多くの人に共通する経験であり、その主な原因が混雑そのものよりも、他者への配慮に欠ける行動にあることを明確に示しています。
- 道を譲る
- 席を詰める
- 荷物を前に抱える
- 音量に気を配る
- 咳やくしゃみを手で覆う
といった行動は、どれも基本的なマナーですが、混雑した車内では特にその重要性が増します。これらの「ちょっとした配慮」があるかないかで、周囲の人が感じるストレスは大きく変わります。
また、多くの人がイライラしても「我慢している」という現状は、「自分さえ良ければ」という態度が、表面化しないところでいかに多くの人にストレスを与えているかを物語っています。
日々の電車通勤を少しでも快適な時間にするためには、私たち一人ひとりが「お互い様」という意識を持ち、周囲への配慮を心がけることが不可欠です。今回の調査結果を、自身の通勤マナーを振り返り、より良い通勤環境を皆で作り出すためのきっかけとして捉えてみてはいかがでしょうか。
本調査は、働き方に関する情報を発信する「Biz Hits Career blog」が実施しました。詳細な調査結果や関連情報は、公式サイトで確認できます。
▶ Biz Hits Career blog公式サイト: https://bizhits.sixcore.jp/
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